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第二講 損得が生じるわけ
先物取引の損得は
どのようにして生じるのでしょうか。

モノを売るときに安く仕入れて、それよりも高く売ればもうかるよね。逆に売り値よりも仕入れ値段が高いと損が出てしまう。

それと同じで
買値(カイネ、買った時の値段)と
売値(ウリネ、売った時の値段)の
差額により損得が生じるんだよ。

下の図を見てごらん。
図1
先物取引で「買い」から取引を始めた場合、買値より高い値段で売れば利益になります。逆に、買値より安い値段で売れば損失が生じます。

これは「買い」から入っても「売り」から入っても同じです。

では「売り」から取引を始めたときは、どうなるのでしょう。
売り値段よりも安い値段で買えば利益になります。逆に、売り値より高い値で買えば損失が生じます。

ではその時の損得はどうなるんですか?

下の図のようになるよ。

図2
モノを持っていなくても、売りから入れるのはなぜですか。

(1)後からモノを調達する。
(2)差金決済により契約を終える。

いずれの方法でも、最初の取引の時点ではモノは必要ないんだよ。

図3

●商品先物取引とは
将来の一定期日に何円でモノと代金を交換するか今決める「契約」で、その契約は次のいずれかの方法で終えることができます。

契約の終え方(=「決済」といいます。)
以下の2通りの方法があります。
(i)将来の決められた日にモノの受け渡しを行う。
  (受渡決済、ウケワタシケッサイ)
→  「売り」から入った場合は、この日までにモノを調達すればいいので、最初からモノを持っている必要はありません。
(モノを渡すという最初の契約を履行しただけなので損得は生じません。)

(ii)反対売買により契約を解消する。
  (差金決済、サキンケッサイ)
→  例えば「売り」から入った人はその反対の「買い」注文を出して、これが成立すると、最初の「売り」契約に基づく「モノを渡す義務」とその後の「買い」契約に基づく「モノを受取る権利」が互いに打ち消されて消滅します。

従って、モノを持っていなくても取引に参加できます。
(この場合、最初の売り注文が成立した値段と後の買い注文が成立した値段との差額(差金、「売値マイナス買値」)を取引所を経由して相手方とやりとりするので損得が生じます。)

売りから参加できるから相場の下落局面でも利益を狙えて便利だね。

図4
【具体例】
上の図は金(キン)の取引の例です。
市場価格が1g(グラム)あたり2,300円の時に売り契約を結び、2,100円に下落した時に買い注文を出して差金決済した場合の損益はどうなるでしょうか。

→  まず、1gあたりどれだけ利益が出たかを考えます。
2,300円で売って2,100円で買い戻したので1gあたり200円の利益が出ます。
金の取引単位は1,000gですので、これを1,000倍します。
すると200,000円の利益となります。

この他にどんな費用がかかるの?
→  委託手数料が必要です。
注文は取引業者(「商品取引員」といいます。)を通して行いますので、業者に対して委託手数料を支払わなければなりません。
委託手数料の額は各社が決めていますので、ホームページ等で確認するのがよいでしょう。

●基礎知識
商品先物取引における「契約」のことを玉(ギョク)、ポジションなどと呼びます。
(例) 「売り契約」→「売玉(ウリギョク)」、「売りポジション」
「買い契約」→「買玉(カイギョク)」、「買いポジション」

契約を保有することを、「玉を建てる(ギョクをタテル)」、
契約を解消することを、「玉を落とす(ギョクをオトス)」 といい、
まだ決済されていない契約を建玉(タテギョク)といいます。

玉を建てる注文を「新規注文」、
玉を落とす注文を「仕切注文(シキリチュウモン)」 といいます。

建玉の数え方は1枚、2枚のように「枚(マイ)」という単位で数えます。
1枚の建玉で取引されるモノの数量は、商品によってちがいます。

差金決済と受渡決済ではどちらが多いのですか。
平成15年から19年の国内取引所の受け渡し枚数は全出来高枚数の1%以下と、差金決済が圧倒的に多いのが現状です。
ただし、この比率は上場銘柄を平均した数値であり、銘柄ごとの受渡比率は当然これと異なります。
また指数商品や現金決済商品といって受渡決済が認められない商品もあります。
(具体的な銘柄名などは、以降の章でご紹介いたします。)

●データ
平成15年度以降の出来高枚数、受渡枚数
  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
受渡枚数 68千枚 72千枚 68千枚 111千枚 112千枚
出来高枚数 155,790千枚 134,679千枚 107,745千枚 85,067千枚 71,070千枚
受渡比率 0.04% 0.05% 0.06% 0.1% 0.2%
(商品取引所連絡会調べによる)