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さきもの取引の始まり
さきもの取引は人類の経済活動の発展に応じて必然的に整えられていった取引制度です。


人類の経済活動は、概ね
(1)自給自足(狩猟・採集・農耕経済)
   ↓ 余剰生産物の発生
(2)交換経済(モノとモノの交換)
   ↓
(3)貨幣経済(モノとカネの同時交換、現物取引)
と段階的に発展してきました。

しかしこれで終りではなく、人々は生産中、輸送中のモノも売買しようと考えました。
そこで発生したのが
(4)先渡取引(未着物取引)という取引形態です。
これはモノとカネの交換は後回しにして、売り手と買い手の間で価格だけ先に決めておく、という形態です。売り手にとっては早めに売却先を決定できる、買い手にとっては早めにモノを確保できるという利点がありました。6ヵ月先・1年先等の「サキ」にモノ・カネを「ワタス」ので、「サキワタシ取引」といいます。 しかし、先渡取引では、契約締結後に価格が変動すると損が生じてしまう、また約束したモノと異なるものが引き渡される場合があるといった難点がありました。
(5)先物取引(標準モノの差金決済*1
先渡取引の難点に改善を加えたのが、先物取引です。具体的には以下の改善が施されました。
(ア)取引の標準化・・・ 取引できる商品、そのサイズ、決済期限、などを定型化することで、迅速大量な取引を可能にしました。
(イ)差金決済方式・・・ 現物の受渡しをせず、最初の取引が成立した時の約定価格*2反対売買*3が成立した時の約定価格の差額を受け払いすることで取引を終了できるようにしました。このことで契約締結後の価格変動に対応することが可能となりました。
(ウ)証拠金制度の導入・・・ 約定価格の数%相当の現金などを取引の担保として取引所に預託することで取引が履行(りこう)されることを確保しました。

ちなみに、歴史的にはどのような動きがあったのでしょうか。

1531年 アントワープに商品取引所が設立されました。
当時、アントワープは地中海貿易の中継地となっていて、現物取引が集中的に行われていましたが、そこに集う商人たちの中で、売り手は輸送中の物資(未着物)について早く現金化したい、買い手は必要な物資を早めに確保したいと考える者がでてきました。

そのような商人たちの間では、自然発生的に未着物取引(=先渡取引)が行われるようになりました。そこでは商人達が、各種商品を標準化・規格化することで、未着のコショウ、未収穫の穀物等の売買を見本品を基に行いました。

その結果、アントワープ商品取引所での取引量は爆発的に増大しました。

1571年 ロンドンにも王立商品取引所が設立されました。
アントワープの取引所の発展を目の当たりにして、ジョン・グレシャムがロンドンに設立した取引所が王立取引所として公認されました。

1730年  第八代の徳川将軍吉宗によって、日本の大阪堂島に帳合米取引*4(先物取引)の市場が公設されました。
江戸時代、コメはモノの側面を持つ反面、通貨としての機能も持っていましたので米価の安定は国民経済上重要なことでした。吉宗以前の時代にもコメの先渡取引がコメ商人である淀屋の庭先で行われていましたが、米価を高騰させるという理由でその後禁止・又は制限されていました。
しかし、吉宗の代にコメの増産に成功し、米価が低落し、生産者である農民やコメで俸禄を得ていた武士階級が困窮に追い込まれると幕府はコメの先物取引を公許しました。ここではそれまでの先渡取引(現物の受渡しをともなう取引)は行わず差金決済のみを行う取引形態が展開されました。

1948年 シカゴ商品取引所が設立されました。
シカゴは米国の穀倉地帯の中心で小麦、トウモロコシの集積地となっていましたが、この地で売り手・買い手双方の「年間を通じて安定した価格で生産物を売却したい」「安定的に物資を仕入れたい」という意向を実現するための仕組みが考え出されて、取引所の設立につながりました。その際には日本の帳合米取引を参考にしたと言われる制度の構築が行われ、買いからでも売りからでも取引に参加して自由に差金決済ができる現在の先物取引制度が確立しました。

*1 差金決済・・・モノの受渡しを行わずに、売値と買値の差額をやりとりして取引を終えること。
*2 約定価格・・・いくらで売るか、また買うかという金額。
*3 反対売買・・・「買い」から取引参加した時の「売り」、また「売り」から取引参加したときの「買い」を指す。
*4 帳合米取引(チョウアイマイ取引)・・・江戸時代に行われた先物取引の一種で、反対売買による差金決済でのみ取引を終了できる。「帳簿上の米取引」であることからこの名がついたと言われている。